Linuxで組もう!DIY PC Audio 詳細解説 Vol.8

(6) ジャケ写表示設定


「lighttpd」は、Webサーバと言うWebサイトの構築時には必須となるソフトの一種で、Webブラウザなどからのリクエストに応じて、HTMLファイルや画像ファイルを送信します。

ここでは、いわゆる「ジャケ写」をMPDクライアントに表示させるためのツールとして利用します。


:~$ sudo apt install lighttpd


インストールしたら、その設定ファイルを覗きましょう。


:~$ sudo cat /etc/lighttpd/lighttpd.conf

server.modules = (

        "mod_indexfile",

        "mod_access",

        "mod_alias",

        "mod_redirect",

)


server.document-root       = "/var/www/html"

server.upload-dirs          = ( "/var/cache/lighttpd/uploads" )

server.errorlog             = "/var/log/lighttpd/error.log"

server.pid-file             = "/var/run/lighttpd.pid"

server.username             = "www-data"

server.groupname            = "www-data"

server.port                 = 80

…(以下、略)


「ジャケ写」をMPDクライアントに送る設定のため、この中の、“server.document-root = "/var/www/html””と”server.port = 80”の情報が重要です。

ジャケ写表示のためには、このWebサーバ上の/var/www/htmlの中に「Music」というディレクトリを作り、先ほど確認したMPDの音楽ファイル収納ディレクトリ /var/lib/mpd/musicへのシンボリックリンクを作成します。


:~$ sudo ln -s /var/lib/mpd/music /var/www/html/Music


「ln(小文字で、エル・エヌ、です)」は、リンクを作成するコマンドで、サブコマンドの「-s」は、シンボリックリンク作成のためのコマンドです。


シンボリックリンクとは、まあ「ショートカット」みたいなものだと理解して下さい。

上記の処理を行うと、Webサーバ上の/var/www/html/Musicには、MPDの音楽ファイル収納ディレクトリである/var/lib/mpd/musicの情報が「ショートカット」の形(いわば、実体を伴わない情報の形)で入ります。なので、元ディレクトリの/var/lib/mpd/musicに「ジャケ写」情報が入っていれば、このシンボリックリンクでその情報は自動的にlighttpdにリンクされ、lighttpdと通信を行うMPDクライアントの設定に従って、スマホやタブレット上に送ってくれるようになるのです。へーっ。


もう一つの重要情報、”server.port = 80”は、MPDクライアント上での設定で使用する情報です。MPDクライアントは、このポートを通じて、ジャケ写情報を取得します。


さて、ちゃんと、シンボリックリンクが張れたか、一応確認してみましょう。

treeという、ツリー構造でディレクトリの位置関係を示してくれるソフトを入れて確かめます。


:~$ sudo apt install tree

:~$ tree /var/www/html

/var/www/html

└── Music -> /var/lib/mpd/music


「->」がシンボリックリンクである事を示す記号です。

/var/www/htmlの中にMusicディレクトリが生成され、そこに/var/lib/mpd/musicへのシンボリックリンクが張られている事が分かりますね。


ちなみに、MPDのシステムでは、楽曲データに内蔵されるジャケ写情報を読み込むことはできません。

その代わりに、楽曲データと同じフォルダにある、jpg形式で保存されたジャケ写ファイルを読み込んで表示させる仕組みです。


全過程 Vol.4のMPDクライアント設定内に、説明無しで記載していますが、筆者は「Folder.jpg」という名前で、それぞれのジャケ写データを保存しています。


どんな名前でも構いませんが、一点、Linuxの「大文字・小文字の厳密な区別」には気を付けて下さい。

「folder.jpg」「FOLDER.jpg」「Folder.JPG」、これはどれも普通のPC上であれば同じファイルとみなされますが、Linuxでは全く違うファイルであると認識され、ジャケ写表示ができません。


今回はここまで。

この辺で、一度再起動しておきましょう。


:~$ sudo reboot


Linuxで組もう!DIY PC Audio  目次

全過程  Vol.1: Debian buster インストール準備編

全過程  Vol.2: Debian buster インストール

全過程  Vol.3: Debian設定 全コマンドライン

全過程  Vol.4: MPDクライアント設定


詳細解説 Vol.1: PCオーディオのススメ

詳細解説 Vol.2: Linux / MPD / Real Time Kernelについて

詳細解説 Vol.3: コマンドライン(1) Linux テキストエディタのインストール

詳細解説 Vol.4: コマンドライン(2) 固定IPアドレス設定

詳細解説 Vol.5: コマンドライン(3) リモート作業環境の確立

詳細解説 Vol.6: コマンドライン(4) リアルタイムカーネルの実装と設定

詳細解説 Vol.7: コマンドライン(5) MPD / mpc / ALSA / Avahi Daemon + Safety Shutdown設定

詳細解説 Vol.8: コマンドライン(6) ジャケ写表示設定

詳細解説 Vol.9: コマンドライン(7) MPD詳細設定

詳細解説 Vol.10: コマンドライン(8) NAS上の楽曲データのマウント

詳細解説 Vol.11: コマンドライン(9) おまけ - WoL設定


(21/08/29更新)Debian bullseye & MPD 0.22.6 アップグレード!+ DSD再生情報

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